新しくがんと診断された患者さんがいたとします。
主治医が治療について説明をするときによく聞くのが
「よくわからないので、先生にお任せします」
患者さんには突然大きな病の診断を受けたショックもあるでしょう。
冷静に考えることができなくなっているのかもしれません。
この言葉を受けた主治医はどうするでしょう?
「よし、早速手術の準備だ。麻酔科に連絡しよう」とはなりません。
詳細に既往歴を聞き、アレルギーの有無も注意深く聞き取ります。
血液をサラサラにする薬を飲んでいるようなら手術前は数日間中断しなければなりませんし、タバコを吸っているようなら術前の禁煙が必要です。
医学的な問題に加えて、
「がん保険は入っていますか?」とか、
「入院の間商売や家庭は大丈夫ですか?
「他に病状などについて説明しておいたほうがいい人はいませんか?」
などできる限りの配慮をします。
必要があればソーシャルワーカーなどの助けをかりることもあります。
医療は人の命や人生まで預かっているのですから。
“ヒポクラテスの誓い”では医師の任務について
患者の利益を最優先し、害を与えず、秘密を守り、人種や身分に関わらず公平に医療を提供する
ことが述べられています。どこの医学部でもまず習うことだと思います。
私たちの目標は、「お任せします」と言っていた患者さんが病状について理解した上で、
自ら選択したものとして治療に取り組めるように根気よく話し合うことだと思います。

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